京都下鴨病院で整形外科の理学療法士をしている小野志操のブログです。
肩関節・肘関節・手関節・股関節・膝関節・足関節・腰背部の術後療法や保存療法、スポーツ障害に対するリハビリテーションを行なっています。
すべては患者さんの笑顔のために」 All for a smile of patient... by OH!NO!DX

加谷光規先生の手術を見学してきました @ 羊ヶ丘病院 12, Mar., 2018

真ん中:加谷先生、左:為沢先生、右:私
水戸PhysicalTherapy研究会での講演終了後、其の足で羽田空港から札幌へ移動し、翌日羊ヶ丘病院を訪ねました。

目的は私が尊敬して止まない整形外科医 加谷光規先生の股関節鏡視下手術を見学するためです。

加谷先生とは2013年にミュンヘンで開催されたISHA(国際股関節鏡学会)で知り合って以降のお付き合いです。昨年、私が所属している整形外科リハビリテーション学会の特別講演会でもご講演して頂きました。

2013年ISHAにて:前列真ん中:加谷先生、前列右端:私
加谷先生の股関節痛に対する理路整然とした病態解釈には本当に心酔します。
いわゆるFemoroacetabular Impingimentと呼ばれる病態について、股関節唇損傷が本当に疼痛を誘発しているのか?また、鏡視下手術で股関節唇修復術の適応とはどのようなものなのか?という命題に対する加谷先生の見解には大いに賛同出来ます。

今回はどうしても加谷先生の手術を見てみたかったのです。加谷先生は、X線学的に骨形態異常が確認され、MRI上で一部股関節唇損傷が確認出来る症例に対して、一定の評価基準を満たしていれば、RIM triming+RefixationやCAM osteochondroplastyを伴う股関節唇修復術を行わず股関節周囲の軟部組織の癒着剥離のみを関節鏡を用いて行われています。この概念はまさに我々理学療法士が行なっている股関節治療を外科的に行う究極の形だと思っています。

通常の股関節鏡手術では大腿骨を40分程度牽引して手術を行いますが、この方法であれば股関節の状態を確認する2〜3分のみの牽引時間で済みますから、手術による股関節に加わる侵襲は最小限です。しかも加谷先生は通常鏡視下手術時に灌流させる生理食塩水に一定の圧をかけるためのポンプも使用されませんので、真の意味での低侵襲での手術を行われます。手術そのものも丁寧かつ短時間で手術開始からおよそ30分程度の手術時間でした。

アスリートが股関節唇修復術を受けられると通常競技復帰までに6ヶ月程度は要しますが、加谷先生の手術であれば2週間程度で競技復帰が可能だそうです。

今回手術を見学させて頂いて、実際に生体での股関節周囲の解剖と病態を観察することが出来ました。この経験を今後の理学療法に活かしていき、1日でも早く患者さんの症状を改善させることが出来る様に取り組んでいきたいと思います。

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水戸PhysicalTherapy研究会で変形性膝関節症に対する理学療法について講演しました @ 北水会記念病院 10-11, Mar., 2018


水戸PhysicalTherapy研究会で変形性膝関節症に対する理学療法について講演してきました。
今回は京都下鴨病院の為沢一弘先生にアシスタントとしてご協力して頂きました。

40歳以上で変形性膝関節症の有病率は、男性42%、女性61.5%であり、人口換算すると患者数は2530万人以上(男性860万人、女性1670万人)といわれています。

我々理学療法士が日常診療で多く診る疾患の一つです。患者教育や下肢の筋力強化にエビデンスがあると報告されていますが、私個人としては漫然と筋力強化をする現状に違和感を覚えています。

確かに筋力を強化することで膝関節の支持性が向上したり、関節内ヒアルロン酸鎖が延長するとの報告があり、筋力強化を否定するつもりはありませんし、実際に私も臨床で行っています。

私が思うのは「漫然と」ということです。

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が変性する疾患でありますから、軟骨そのものに対して治療を行うことは不可能です。

そして多くの患者さんが主訴とする「痛み」に対しても理学療法士は無力です。

では、何が痛いのでしょうか?

軟骨そのものにはメカノレセプターは存在しないわけですから、軟骨が痛いということは考えにくいわけです。勿論軟骨下骨が露出するような状態にまで軟骨が変性すれば骨性の疼痛が出現します。

しかし多くの患者さんは軟骨下骨が露出していない状態(Kallegren-Lawrense分類1~3)でも疼痛が出現します。関節内の炎症性疼痛であれば前述したように理学療法士は為す術もない訳ですが、この時期の疼痛発生要因の多くは「運動時痛」です。

つまり関節に加わる過剰な機械的刺激により疼痛が誘発されているわけです。この機械的刺激を軽減させることは理学療法で可能であり、結果として「運動時痛」を消失ないし軽減させることが出来るということになります。

今回の講義では膝関節だけでなく、股関節と変形性膝関節症の関連に着目して、膝関節に加わる過剰な機械的刺激について機能解剖学的観点からお話をさせて頂きました。併せて私が臨床で行なっている治療の一部を実技で紹介させて頂きました。

理学療法士になって19年目の今年、今まで以上にこれまで培ってきた「病態解釈」と「治療技術」の「伝承」に尽力して行きたいと思います。

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第6回 整形外科リハビリテーション学会関西支部合同全国研修会に参加しました @ 尼崎リサーチ・インキュベーションセンター, 24-25,Feb., 2018


第6回整形外科リハビリテーション学会関西支部合同全国研修会に実技講師として参加しました。今回は足関節周囲の機能解剖学的触診と治療がテーマでした。

実技講師ということで、講義を担当しなかったため気楽に参加出来ましたが、恩師 林典雄先生の超音波画像診断装置を用いたライブセミナーでは触診とエコーの融合を体感することが出来ました。

同じ整形外科リハビリテーション学会で活動する先生方の講義に納得することが多く、理学療法を行う上で、解剖と触診の大切さを実感できる研修会でした。講師でありながら私自身が勉強になることが多かったです。

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4th HASMS 2018 in Nagoya でシンポジストとして発表しました @ 今池ガスホール 名古屋 11, Feb., 2018



名古屋の今池ガスホールで行われた、第4回 HASMS(Hip Arthroscopy Seminar for Medical Staff:メディカルスタッフのための股関節鏡セミナー)でシンポジストとして発表しました。

内容は「股関節鏡に関わるメディカルスタッフ間の連携について〜PTの立場から」についてです。

股関節鏡術後に限らず、術後患者さんに対するメディカルスタッフ間の連携は術後成績を良好に経過させるために重要であると考えています。

今回は施設間PTの連携にフォーカスを当ててお話をさせて頂きました。

股関節鏡術後のリハビリテーションではThe Steadman Clinic(Dr. Marc J Philippon)で用いられているプロトコール(術後スケジュール)をmodifiedしたものを使用している施設が多いです。私が勤務している京都下鴨病院も同じくです。
こちらがそのプロトコールで、産業医科大学若松病院の内田宗志先生が作成されたもので、同病院 高橋誠先生が和訳されたものです。

このプロトコールでは基本的に股関節唇の修復過程を阻害しないように4つのPhaseで構成されています。

Phase I:術後早期 0〜4週 

Phase II:術後中期4〜8週 Phase III:アドバンス期8~12週 

Phase IV: スポーツ復帰16週以降 

Phase I 目的 縫合した関節唇の修復をできるだけ保護。 1)疼痛軽減、消炎鎮痛2)修復した関節唇の保護(あまり激しく動かさない)3)筋力の低下を抑制を目的にリハビリを行うアイソメトリック(等尺性筋力訓練)を行い他動可動域訓練は最初は緩やかに徐々に可動域を広げる。
3週までは リハビリをするとき以外は、装具を外転と回旋を防止する装具を装着する。
可動域の制限は

屈曲0-120°
外転 45°
外旋 0°(←これは重要です:無視すると遅発性の外側大腿皮神経症状を起こします)


等尺性訓練(大殿筋、中殿筋他)
エアロバイク
は術後翌日から開始。
他動可動域訓練は理学療法士の管理下に行う。

Phase II 術後中期(4~8週) 1)修復した関節唇の保護2)可動域を回復させていき、可動域を完全にする3)松葉杖をはずして正常歩行


筋力増強訓練を基本にリハビリを行う。 

コアースタビリティーを行いエアロバイクを抵抗をいれる。
片脚起立やバランス訓練可動域と歩行が完全によくなれば、筋力を積極的に回復させる。この時期に痛みや引っかかりが有れば、関節唇の損傷が十分でない可能性があるので、無理なリハビリはすすめず、プロトコールを遅らせる必要が有る。
 
Phase IIIアドバンス期 (
スポーツ復帰までの準備 )
1)筋力回復 耐久性の向上2)心肺機能回復3)神経筋の制御を回復させ適合していく。


メニューとしては 
Lunges 
片脚スクワット  
アジリティーランニング
スケーティングプログラム
などを行う。

この時点で可動域および筋力を獲得し、疼痛がなければ、スポーツテストを行う。スポーツテストが合格すれば、 Phase IV スポーツ特異的なリハビリテーション復帰へとすすめ、徐々に競技復帰する。


股関節鏡を行う多くの医療機関でこのプロトコールを導入していると思いますが、股関節鏡手術後受けることに至る病態と背景は患者さんによって様々です。

このプロトコールは純粋な骨形態異常(Cam typeやPincer type、もしくはその両方)の患者さんに対するリハビリテーションでは有効であると思います。実際に円滑に回復している患者さんが多くお見えです。

しかし、背景にHip Spine Syndrome(含む腰椎椎間板障害)、潜在的なスポーツヘルニア、仙腸関節障害などを有する患者さんもお見えです。

施設間のPT連携においてはこの部分の評価をしっかりと伝える必要があります。

前述した各疾患の病態については、次の機会に記載したいと思います。

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EPoch主催セミナーで「股関節に対する機能解剖学的運動療法〜鼡径部痛からTHAまで〜」について講演しました 2-3, Feb., 2018 @ 尼崎中小企業センター

セミナーの様子
EPoch主催のセミナーで「股関節に対する機能解剖学的運動療法〜鼡径部痛からTHAまで〜」と題して講演させて頂きました。

2日間で10時間の実技を含めた講演でした。実技講師として為沢一弘先生にも手伝って頂きました。

受講者は関西圏はもとより北海道、関東、北陸からもお越しになられていました。
内容については今回もいたってシンプルです。鼡径部痛を引き起こす要因としてFemoroacetabular Impingement、Igunial Disruption(Sports Man hernia)、腰椎椎間板変性、仙腸関節障害についての概略、THA脱臼のメカニズムと脱臼防止の運動方向とその臨床的評価の仕方、股関節周囲の触診、治療方法について実技を交えてお話しさせて頂きました。

EPochさんでは講演後に受講者アンケートの結果を開示してくださるのですが、今回のセミナーでは前回のアンケート結果よりも高い評価を頂けました。
前回の結果は当ブログより>> http://super-pt.blogspot.jp/2017/09/epoch-2-3-sept-2017.html

今回のセミナーの感想「とても良い」100%
次回も講師のセミナーを受けたいか「是非」100%
出来過ぎの評価を頂きました。中学生のとき以来の100点です。
何人かはリピーターや教え子の先生もお見えでしたので、おまけをしていただいているような気もしますが、素直に嬉しいものです。

受講者コメント
以前もブログに書きましたが、私がセミナーの講師をお引き受けする最大の理由は、後進の育成です。それに対して様々な方法や考え方があると思います。私は臨床で結果を出し、学会や論文という形で発表していくことが本質的で最良の方法だと考えています。しかし、技術職である以上、技術の伝承も同時に行っていく必要があります。医師のように「臨床・教育・研究」が一体となっておらず、免許取得後の研修制度がない我々理学療法士にとって、今回のようなハンズオンセミナーは必要だと思っています。

受講者の先には患者さんがいると思って講師の依頼を頂いた時には、なるべく受けるようにしています。これからも、このような活動にも尽力していきたいと思います。


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