京都下鴨病院で整形外科の理学療法士をしている小野志操のブログです。
肩関節・肘関節・手関節・股関節・膝関節・足関節・腰背部の術後療法や保存療法、スポーツ障害に対するリハビリテーションを行なっています。
すべては患者さんの笑顔のために」 All for a smile of patient... by OH!NO!DX

EPoch主催のセミナーで2日間の股関節ハンズオンセミナーをします。


【2日間実技講習会】

股関節疾患に対する機能解剖学的運動療法〜鼡径部痛からTHAまで〜


日時:平成30年2月3日(土)・4日(日) 2日間
   両日ともに10時30分開始、16時30分終了


参加費:21,600円(税込)

募集人数:20名限定

講師:小野志操
京都下鴨病院 理学療法部 主任理学療法士 
専門理学療法士(運動器)
整形外科リハビリテーション学会上級指導員(認定AA)
修士(健康科学)

実技講師:1名(整形外科リハビリテーション学会認定B取得者)

セミナー内容
【概要】
 日本人では臼蓋形成不全股が多く、関節不安定性に起因した股関節周辺部痛がみられます。一方、Femoro-acetabular Impingementの概念が提唱されて以降、股関節唇損傷にフォーカスが当てられることも少なくありません。
 本セミナーでは股関節周辺部痛の病態と股関節周囲の解剖について解説した上で、病態解釈の基本となるX線画像やMRI画像の見方と解釈の仕方、FAIを含む股関節周辺部痛の解釈、変形性股関節症の成り立ちとTHA手術後の脱臼予防の考え方と具体的な運動療法の紹介、触診技術と具体的な評価方法および運動療法について、実技を中心に紹介していきます。

プログラム
【第1日目】
●股関節の形態と解剖学的基礎知識
●鼡径部痛(含むFemoro-acetabular Impingement)の解釈
●画像所見の見方
●変形性股関節症の病態 〜一次性と二次性について〜
●THAの手術と脱臼予防の考え方と運動療法の紹介(症例ビデオ)
●股関節の評価に必要な触診(実技)
【第2日目】
●股関節周辺部痛に対する評価と運動療法の実際(実技)

詳細・申込はEpoch websiteより

第44回日本股関節学会で発表してきました @京王プラザホテル東京 20-21, Oct., 2017


第44回日本股関節学会に参加してきました。京都下鴨病院からは私と為沢一弘先生が発表をしました。為澤先生は「股関節開排動作における小殿筋の関与について」、私は「アスリートにおける片側性股関節唇損傷症例の特徴〜単純X線立位骨盤正面像による腸骨開大指数を用いた検討〜」について発表しました。


先々週の肩関節学会に続き今月2回目の東京でした。最高気温が12℃という肌寒い中、学会会場はホットでした。今回の学会では自分としては久々にTHAに関する演題や講演を聴講しました。Up to dateされた内容もあり勉強になりました。

これで今年の学会発表は終了ですが、これからも臨床での疑問を私に出来る手法を用いて、一つずつ解決することで患者さんを良くするために努力していきたいと思います。

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第44回日本肩関節学会・第14回肩の運動機能研究会・第1回肩の看護研究会・The 1st Asia-Pacific Shoulder & Elbow Symposiumで発表してきました @ 新高輪プリンスホテル, 6-8, Oct., 2017



第44回日本肩関節学会と共同開催されている第14回肩の運動機能研究会に私と永井教生先生、團野翼先生、服部隼人先生の4人で参加しました。

私は「リバース型人工肩関節置換術後可動域改善に対する工夫とその効果」についてポスター発表を、團野先生は「反転型人工肩関節置換術後の上肢挙上可動域に影響する因子の検討」について口述発表をしました。

肩関節の治療について多くを学び、刺激を受けました。今回の学会は日本で開催されていましたが、海外からの招待スピーカーも多く参加されていて、国際色豊かな学会でした。

再来週には日本股関節学会での発表が控えています。今年の学会発表もいよいよ最後の一つとなります。今回発表した内容を論文にまとめながら、再来週の準備も進めていきたいと思います。

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第26回整形外科リハビリテーション学会学術集会に参加しました @ 吹上ホール 23-24, Sept., 2017


第26回整形外科リハビリテーション学会学術集会に京都下鴨病院・烏丸御池整形外科クリニックの理学療法士全員で参加しました。

團野翼先生:「肩関節挙上時に肩後方から肩甲帯に出現した疼痛の解釈〜肩甲上神経の解剖学的特徴に着目して〜」

中井亮佑先生:「変形性肩鎖関節症における疼痛の解釈〜肩甲上腕関節の拘縮の影響〜」

堀内奈緒美:「足部多発骨折後に続発した感覚障害に対する評価と治療〜内側足底動脈の血流障害が感覚障害の原因であった一症例〜」

佐々木拓馬先生:「外側半月板切除後に生じた後外側部痛の解釈」

京都下鴨病院からは以上の4演題を発表しました。日々の多忙を極める臨床の中で、一症例と真摯に向き合い、治療結果を出した上で、個々の患者さんの病態を解剖学的に解釈してまとめてあり、どの演題も興味深くよく考えられていました。

私も10月に肩機能研究会、日本股関節学会での発表が続けざまに控えています。当院の若手の先生方に負けないようしっかり準備して臨みたいと思います。


今回、整形外科リハビリテーション学会人材育成プランにおいて、上級指導員(認定グレードAA)に合格しました。AAの資格に恥じないよう、研鑽を重ねていきたいと思います。

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騎乗フォームの研究


騎乗フォームの修正(左が修正前、右が修正後)

最近では競馬騎手の方々を診させて頂く機会が増えています。

その中で感じることとして、アスリートとして騎手特有の体の使い方があるということです。もちろん他の競技と同様に、選手それぞれの個別性はありますが、共通して発達している筋が存在している印象を持っています。

数少ない先行研究において、アマチュア騎手とプロフェッショナル騎手の動作分析をし、騎手の頭部・背中と馬の頭部の関係が騎乗技術能力レベルに影響されていると報告しています。馬の動きに対して同調するためには、騎手の姿勢保持(フォーム)が重要であると考えられます。騎乗技術習得において、熟練度の違いによって動作の再現性に差があると報告されています。ただしこの報告は、騎手と馬の動きとの同調性を分析した研究ですが、馬がどの肢を接地した時に騎手がどのような動きをしたかといったような馬の動きに対する騎手の動きを時系列に見たものではありません。

Peham, C., et al. : A new method to quantify harmony of the horse-rider system in dressage. Sports Engineering 4: 95-101. 2001.

馬の駈歩(キャンター)は速度は普通1分間に340m位の速度とされており、前躯と後躯を交互に上下動させて、脊柱のシーソー運動を作りだしている歩法で3ビートのリズムといわれています。さらに速度が増した襲歩(ギャロップ)では、左右の肢が非対称的に動き、一完歩に一回、四肢が宙に浮く瞬間が存在します。襲歩駈歩との運歩上の相違点は、駈歩では最大三肢が着地している瞬間が存在するのに対し、襲歩では同時に着地するのは二肢までというところにあり、襲歩では歩幅が駈歩より広くなり、それにともない速度も速くなります。1分間に1000m以上といわれています。(JRAホームページより)

つまり、襲歩では空中を飛んでいる瞬間があるということです。騎手の先行動作が空中の馬の重心移動に影響を与えるとの報告もあり、この点から騎乗フォームが重要である可能性が伺えます。

Terada, K. and Nagata, A. :The fence condition during show jumping in horse.Waseda University the annual report of physical education (Waseda Univ. The annualreport of Physi. Edu.) 29: 29-35.1997.

Giovagnoli らは、駈歩発進時に、騎手の上腕二頭筋と橈側手根屈筋は馬の板状筋と同期した筋活動を見せ、徐々に騎手の上腕二頭筋の活動は馬の板状筋に少し遅れて活動するようになる。また駈歩運動を終了する時には、騎手の上腕二頭筋は馬の咬筋の活動を引き起こさせており、騎手の筋活動は馬のスピードコントロールに使われたと考えられると報告しています。

このことは明らかに騎手の動作と馬の動きが同調し、騎手の動きが馬の動きに先行していることを示唆する内容であると考えられます。

Giovagnili, G., et al. : Horse and rider interactions during canter, stops and starts. The Elite Dressage and Three-Day-Event Horse. Linder, A. (Ed.): 129-132.2002.

高橋らは、競走馬のバイオメカニクスに関する講演の中で、以下のように述べています。
ゴール手前100m付近におけるディープインパクト号の走行速度は17.8m/秒は、解析することのできた馬(平均16.1m/秒)のなかで最速であり、歩数2.36回/秒は、3番目に多く(平均2.28回/秒)、歩幅7.54mは、最も長かった(平均7.08m)。四肢の内、いずれかの二肢が同時に着地しているオーバーラップ時間は、ディープインパクト号では平均値よりも短く、一完歩の時間に対するオーバーラップ時間の比率は8.5%(平均値17.1%)であった。オーバーラップ時間が短いことは、アメリカ合衆国の最高の馬の1頭であるセクレタリアト号の走り方と共通した特徴であった。また、手前後肢反手前前肢間の距離が長いことも、セクレタリアト号と共通した特徴であった。ディープインパクト号が出走した2006年天皇賞(春)および宝塚記念においても同様の測定を実施し、走り方と走行速度との関係について検討したところ走行速度は歩幅および歩数と正の相関が認められ、特に歩数では非支持時間の短縮、歩幅では手前後肢−反手前前肢間の距離が、走行速度と相関することが分かった。

高橋敏之(日本中央競馬会 競走馬総合研究所 運動科学研究室):競走馬のバイオメカニクス− ディープインパクトの強さの理由 第64回日本体力医学会中国・四国地方会特別講演. 抄録集175.2009.

つまり、いかに馬の歩幅を拡大させ、オーバーラップ時間を短くできるような騎乗をするかが、騎手にとって重要となり、それを扶助する騎乗フォームを獲得することが騎手にとって成績を向上させる(勝利数を上げる)鍵となります。

現在、若手の騎手の方と騎乗フォームについて研究しています。いつか学術的に報告できる日がくればと思っています。

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