京都下鴨病院で整形外科の理学療法士をしている小野志操のブログです。
肩関節・肘関節・手関節・股関節・膝関節・足関節・腰背部の術後療法や保存療法、スポーツ障害に対するリハビリテーションを行なっています。
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騎乗フォームの研究


騎乗フォームの修正(左が修正前、右が修正後)

最近では競馬騎手の方々を診させて頂く機会が増えています。

その中で感じることとして、アスリートとして騎手特有の体の使い方があるということです。もちろん他の競技と同様に、選手それぞれの個別性はありますが、共通して発達している筋が存在している印象を持っています。

数少ない先行研究において、アマチュア騎手とプロフェッショナル騎手の動作分析をし、騎手の頭部・背中と馬の頭部の関係が騎乗技術能力レベルに影響されていると報告しています。馬の動きに対して同調するためには、騎手の姿勢保持(フォーム)が重要であると考えられます。騎乗技術習得において、熟練度の違いによって動作の再現性に差があると報告されています。ただしこの報告は、騎手と馬の動きとの同調性を分析した研究ですが、馬がどの肢を接地した時に騎手がどのような動きをしたかといったような馬の動きに対する騎手の動きを時系列に見たものではありません。

Peham, C., et al. : A new method to quantify harmony of the horse-rider system in dressage. Sports Engineering 4: 95-101. 2001.

馬の駈歩(キャンター)は速度は普通1分間に340m位の速度とされており、前躯と後躯を交互に上下動させて、脊柱のシーソー運動を作りだしている歩法で3ビートのリズムといわれています。さらに速度が増した襲歩(ギャロップ)では、左右の肢が非対称的に動き、一完歩に一回、四肢が宙に浮く瞬間が存在します。襲歩駈歩との運歩上の相違点は、駈歩では最大三肢が着地している瞬間が存在するのに対し、襲歩では同時に着地するのは二肢までというところにあり、襲歩では歩幅が駈歩より広くなり、それにともない速度も速くなります。1分間に1000m以上といわれています。(JRAホームページより)

つまり、襲歩では空中を飛んでいる瞬間があるということです。騎手の先行動作が空中の馬の重心移動に影響を与えるとの報告もあり、この点から騎乗フォームが重要である可能性が伺えます。

Terada, K. and Nagata, A. :The fence condition during show jumping in horse.Waseda University the annual report of physical education (Waseda Univ. The annualreport of Physi. Edu.) 29: 29-35.1997.

Giovagnoli らは、駈歩発進時に、騎手の上腕二頭筋と橈側手根屈筋は馬の板状筋と同期した筋活動を見せ、徐々に騎手の上腕二頭筋の活動は馬の板状筋に少し遅れて活動するようになる。また駈歩運動を終了する時には、騎手の上腕二頭筋は馬の咬筋の活動を引き起こさせており、騎手の筋活動は馬のスピードコントロールに使われたと考えられると報告しています。

このことは明らかに騎手の動作と馬の動きが同調し、騎手の動きが馬の動きに先行していることを示唆する内容であると考えられます。

Giovagnili, G., et al. : Horse and rider interactions during canter, stops and starts. The Elite Dressage and Three-Day-Event Horse. Linder, A. (Ed.): 129-132.2002.

高橋らは、競走馬のバイオメカニクスに関する講演の中で、以下のように述べています。
ゴール手前100m付近におけるディープインパクト号の走行速度は17.8m/秒は、解析することのできた馬(平均16.1m/秒)のなかで最速であり、歩数2.36回/秒は、3番目に多く(平均2.28回/秒)、歩幅7.54mは、最も長かった(平均7.08m)。四肢の内、いずれかの二肢が同時に着地しているオーバーラップ時間は、ディープインパクト号では平均値よりも短く、一完歩の時間に対するオーバーラップ時間の比率は8.5%(平均値17.1%)であった。オーバーラップ時間が短いことは、アメリカ合衆国の最高の馬の1頭であるセクレタリアト号の走り方と共通した特徴であった。また、手前後肢反手前前肢間の距離が長いことも、セクレタリアト号と共通した特徴であった。ディープインパクト号が出走した2006年天皇賞(春)および宝塚記念においても同様の測定を実施し、走り方と走行速度との関係について検討したところ走行速度は歩幅および歩数と正の相関が認められ、特に歩数では非支持時間の短縮、歩幅では手前後肢−反手前前肢間の距離が、走行速度と相関することが分かった。

高橋敏之(日本中央競馬会 競走馬総合研究所 運動科学研究室):競走馬のバイオメカニクス− ディープインパクトの強さの理由 第64回日本体力医学会中国・四国地方会特別講演. 抄録集175.2009.

つまり、いかに馬の歩幅を拡大させ、オーバーラップ時間を短くできるような騎乗をするかが、騎手にとって重要となり、それを扶助する騎乗フォームを獲得することが騎手にとって成績を向上させる(勝利数を上げる)鍵となります。

現在、若手の騎手の方と騎乗フォームについて研究しています。いつか学術的に報告できる日がくればと思っています。

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ベトナムからHung先生がお越しくださいました @京都下鴨病院 15, Sept., 2017

左から小竹PT、Hung先生、私
当院の小竹PTがJICAでベトナムに赴任していたことをきっかけに、私もベトナムで昨年と今年の2回講演する機会をいただきました。

その際に大変お世話になったCho Ray 病院のリハビリテーション医のHung先生が京都下鴨病院にリハビリテーションの見学へお越しくださいました。

Hung先生は9月から九州大学に短期留学されておられるとのことで、お休みを使ってわざわざ京都まで足を運んでくださいました。

この日は午後から烏丸御池整形外科クリニックでの勤務があったため、短い時間でしたがHung先生と京都で再会でき、私の臨床もご覧いただきました。

小竹PTはこれからも日本とベトナム、日本と世界との架け橋になるような活動をしていくとのことですから、私もお手伝いできることはさせて頂きたいと思っています。

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復帰&プロ通算100安打達成!


担当させて頂いている選手が競技復帰されました。
理学療法士としてこの上なく嬉しい瞬間です。

しかも節目となるプロ入り通算100本安打も達成されました!
先日100本安打達成記念タオルを頂きました。

これからも「すべては患者さんの笑顔のために」日々臨床に向き合いたいと思います。

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別の選手が嬉しいブログ①ブログ②を書いていてくださっていました。


EPoch主催セミナーで講演しました @ 尼崎中小企業センター 2-3 Sept., 2017


EPoch主催のセミナーで「肩関節拘縮に対する病態解釈と運動療法」と題したハンズオンセミナーで講師をさせていただきました。

実技講師として京都下鴨病院の團野翼先生と中井亮佑先生にもお手伝いをしていただきました。

遠くは北海道や茨城県からも参加者がお見えで、大変熱いセミナーとなりました。とはいえ、内容は至ってシンプルなもので、肩関節拘縮の病態と生理、肩関節の機能解剖、画像所見の見方、触診、徒手的運動療法の実技と普段私が日常診療で行なっていることをお話しさせていただきました。

先日、セミナー終了後のアンケート結果が送られてきました。

セミナーの感想「とても良い72%」「良い28%」
次回も受講したいか「是非68%」「受けたい29%」「日程による3%」

これが現在の私のセミナー講師としての実力です。この結果を評価が高いと捉えるか、そうでもないと捉えるか、判断は様々だと思います。アンケート結果に対する私自身の感想は、「自分はまだまだやな。」ということです。90%以上の人が「とても良い」や「是非再度受講したい」となってはじめて一流だと思います。

反省点や改善すべき点を再考していきたいと考えています。

私がセミナーの講師をお引き受けする最大の理由は、後進の育成です。それに対して様々な方法や考え方があると思います。私は臨床で結果を出し、学会や論文という形で発表していくことが本質的で最良の方法だと考えています。しかし、技術職である以上、技術の伝承も同時に行っていく必要があります。医師のように「臨床・教育・研究」が一体となっておらず、免許取得後の研修制度がない我々理学療法士にとって、今回のようなハンズオンセミナーは必要だと思っています。

受講者の先には患者さんがいると思って講師の依頼を頂いた時には、なるべく受けるようにしています。これからも、整形外科リハビリテーション学会での活動や今回のようなセミナー講師としての活動にも注力していきたいと思います。

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慶友整形外科病院で手術見学をしてきました @ 群馬県館林市 9 Aug.,2017


慶友整形外科病院で古島弘三先生の手術を見学してきました。
古島先生の胸郭出口症候群(Thoracic outlet syndrome; TOS) に対する第一肋骨切除術を一度見てみてみたいと思っていましたが、今回当院の森大祐先生からお誘いをいただき、ついに実現しました。

TOSの診断は、問診、上肢感覚障害、上肢内側のTinel様徴候、Wright test、Roos test、3D CT血管造影、超音波検査による前・中斜角筋間の狭窄評価等で行うと教えて頂きました。

また術前に診察場面も見させていただき、Roos testの有用性を身をもって感じることができました。

術中にQuadri-lateral Space(QLS)での腋窩神経リリースも併せて行われていて、その際広背筋腱が90°屈曲位内旋でQLSを絞扼している様子も見学させていただきました。

学び多き手術見学となりました。見学後には古島先生はじめ慶友整形外科病院の先生方と懇親会も開いていただき、遅くまで臨床談義に花が咲きました。

私自身もTOSではないかと疑う症例を多く経験します。理学所見をしっかり取り、今回の手術見学で学んだことを理学療法にフィードバックしていきたいと思います。

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