2013/07/21
第3回下鴨整形外科疾患フォーラム(2013/7/20)~ 椎間孔外狭窄症について
第3回下鴨整形外科疾患フォーラムに参加しました。
和歌山県立医科大学の南出晃人先生が「腰部脊柱管狭窄症に対する脊椎内視鏡手術-特に椎間孔部狭窄の診断と進歩-」と題してご講演下さいました。
椎間孔狭窄はputtiやMitchellによって仙椎化における腰椎L5 神経障害を起こす病態として報告されています。
Putti V. New conceptions in the pathogenesis of sciatic pain. Lancet 1927; 2: 53-60.
Mitchell CL. Lumbosacral facetectomy for relief of sciatic pain. J Bone Joint Surg 1934; 16: 706-8.
その後、1954年Verbiest により腰部脊柱管狭窄症の概念が導入され、椎間孔狭窄の概念は1976年Arnoldiらが腰部脊柱管狭窄症国際分類の中で外側型狭窄の範疇の一つとして記載しています。
Arnoldi CC, et al. Lumbar spinal stenosis and root entrapment syndromes. Definition and classification. Clin Orthop 1976; 115: 4-5.
頻度は腰椎変性疾患の中で8 -11%と報告されていて、まれな病態ではありません。
Kunogi J, Hasue M. Diagnosis and operative treatment of intraforaminal and extraforaminal
nerve root decompression. Spine 1991; 16: 1312-20.
Porter R, Hibbert C, Evans C. The natural history of root entrapment syndrome. Spine 1984; 9:
418-21.
Macnabらが「Hidden zone」 と紹介しているように、この部の病態は見落とされやすく、Failed back surgery syndrome の約60%を占めるとも言われています。
MacNab I. Negative disc exploration: An analysis of the causes of nerve root involvement in sixtyeight patients. J Bone Joint Surg 1971; 53: 891-903.
Burton R, Kirkaldy-Willis W, Yong-Hing K,Heithoff K. Causes of failure of surgery on the
lumbar spine. Clin Orthop 1981; 157: 191-7.
椎間孔外側狭窄症の診断には3D-MRIやDTI(拡散テルソン画像)が有用とのことです。
Kitamura, Mitsuhiro , Eguchi, Yawara , et al. A Case of Symptomatic Extra-Foraminal Lumbosacral Stenosis (“Far-out Syndrome”) Diagnosed by Diffusion Tensor Imaging
Spine: 15 June 2012 - Volume 37 - Issue 14
特徴的な所見(診断基準)としては、
①神経根・脊髄神経の横走化(上記論文のFig.2)
②後根神経節の不明瞭化
③椎間孔内ヘルニア
④神経根・脊髄神経の浮腫(上記論文のFig.2)
の4点が挙げられます。
椎間孔外狭窄は脊柱管より遠位にある場合が多く、15~20%は椎間孔外側のみに狭窄があります。
治療としては関節鏡視下に仙腸靭帯(腸腰靭帯)を切除して、第5腰神経を除圧することで症状が改善します。
今回のフォーラムで学んだことを臨床の理学療法に活かしていきたいと思います。
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