2014/11/01

シンポジストとして肩関節の関節包性拘縮について発表しました Oct 26, 2014 @神戸総合医療専門学校


整形外科リハビリテーション学会神戸支部にて「肩関節疾患に対する基礎と臨床」をテーマとしたシンポジウムが開催され、「関節包性拘縮肩に対する機能解剖学的アプローチ〜私の評価〜」と題してシンポジストとして発表してきました。

発表後のパネルディスカッションでは主に腱板断裂に対する運動療法に関して討議が行われました。

議論は「腱組織の変性をいかに考慮して運動療法を展開するか」という臨床上とても重要な内容となりました。

腱組織の変性を推察する手掛かりとしての個人的な見解としては、年齢(ただ単に歳がいっているということではなく、どれだけの期間身体を使用しているのかということ)、性別、職業、断裂サイズと脂肪変性が重要であると思います。術後であれば術中所見もここに加わります。

ARCRについては医師の中でも不要論があります。それは無症候性腱板断裂という事実があるからに他なりません。一方で早期にARCRをしなければ断裂サイズが大きくなるとの報告もあります。

無症候性腱板断裂があるということは、徐々に進行する変性断裂では他の筋による代償機能が獲得出来るという解釈が成立するように思います。そして変性断裂に伴う疼痛は腱が断裂したことによるものではなく、骨頭の支点形成不全により関節求心位が保てなくなることで不安定な肩関節運動に起因していると推察できます。

一方、外傷性腱板断裂では急激な組織破綻による炎症と代償機能を獲得する時間経過が伴わないことによる関節不安定性との両方により疼痛が発生していると考えています。

つまり、炎症が沈静化し、代償機能が獲得出来れば多くの腱板断裂は保存療法の適応になるのかもしれません。このように考えるとARCR不要論にも一理あると思います。

しかし、ご本人の努力にも関わらず代償機能が獲得出来ない患者さんがいることも事実です。それを考えるとやはり何らかの外科的治療が必要になる場合があることも否定はできません。

現状での私個人の結論としては、どのような患者さんが代償機能が獲得できないかが分からない以上、一定期間運動療法を行ってみて十分な変化が得られない場合にはARCRは必要ということです。ただし、そこを明確にしていくためにエビデンスを積み重ねていくことが重要です。それが分かれば、この患者さんは保存療法で、この患者さんは手術適応で、という判断が出来るようになりますから。

医師同様、我々理学療法士も研究を積み重ねていく必要があると今回のシンポジウムに参加して改めて考えることが出来ました。


シンポジウム終了後には懇親会が行われ、楽しい時間を過ごすことも出来ました。

これからも関西の整形外科領域のリハビリテーションが発展するように仲間とともに邁進していきたいと思います。

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