京都下鴨病院で整形外科の理学療法士をしている小野志操のブログです。
肩関節・肘関節・手関節・股関節・膝関節・足関節・腰背部の術後療法や保存療法、スポーツ障害に対するリハビリテーションを行なっています。
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非外傷性腱板断裂についての一考察

Treatment of Nontraumatic Rotator Cuff Tears: A Randomized 

Controlled Trial with Two Years of Clinical and Imaging Follow-up

Journal of Bone & Joint Surgery - American Volume:  4 November 2015 - Volume 97 - Issue 21 - p 1729–1737

非外傷性腱板断裂患者160例(167肩)を対象に、理学療法、肩峰形成術、腱板修復術の効果を比較。施術2年後の主要評価項目のコンスタントスコア平均変化は理学療法単独群(Group 1)18.4点、理学療法+肩峰形成術群(Group 2)20.5点、理学療法+肩峰形成術+腱板修復術群(Group 3)22.6点と有意な群間差は見られず、疼痛スコアや患者満足度にも有意差はなかったとKukkonenらが報告しています。


疼痛

日常生活動作

関節可動域

筋力

この結果に対しては様々な考察が成り立つと思いますが、Kukkonenらも考察している通り非外傷性腱板断裂症例にあっては理学療法が第一選択であるべきだと私は考えます。ただし本研究の結果をみても解るとおり、どのような治療法を選択したとしても、少なくとも1年の治療期間が必要ということです。このことは私の臨床経験における肌感覚とマッチングしています。

もちろん修復をしない場合、断裂サイズが大きくなり偽性麻痺へ移行する患者さんがいるという事実もあります。しかしそうでない患者さんもいて、どのような患者さんが本当に修復術が必要なのかが判らないということが現状である以上、修復術を早期にするべきとする意見にも頷けます。

またアキレス腱断裂は修復するのだから肩腱板断裂も単純に修復したほうがいいに決まっているとする意見があることも承知しています。

ただ私の個人的な見解は、治療方法は患者さんが決めるべきということです。我々医療者は今までの知見をありのままに伝える義務があり、患者さんの意向に沿うことが大切だと思います。

修復術を受けることのメリットの一つに術後に十分な社会的理解が得られるということがあります。つまり「大変な手術を受けたのだから、しばらくは安静にしないといけない」と、患者さんと周囲の方々の理解が得られやすいということがあります。加えて治療終了までの期間や症状変化について期間的な説明がしやすいということもあります。

どのような治療法が目の前にいる患者さんにとってベストな選択となるのかを十分考慮し、保存療法としての理学療法を選択された場合にはプロフェッショナルとして最高の治療が提供できるように日々技術の向上に努めなければなりません。

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